茶道の流派一覧!表千家や裏千家など三千家の違いやそれぞれの作法を解説

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茶道の流派一覧!表千家や裏千家など三千家の違いやそれぞれの作法を解説

茶道には、さまざまな流派があります。流派によって抹茶の点て方や道具などが異なるため、それぞれの違いを理解して自分にあうものを見つけることが大切です。今回は、千利休を祖とする三千家をはじめ、他の茶道の流派の特徴や選び方について解説します。

【目次】
茶道の「流派」とは?
茶道の流派で代表的な「三千家」とは?
 表千家
 裏千家
 武者小路千家
「三千家」の流派ごとの違い
 歩みの進め方
 お辞儀や座り方などの所作
 ふくさ
 茶道具
 お茶の点て方
 いただくお菓子
「三千家」以外の茶道の流派一覧
 藪内流
 遠州流
 江戸千家流
 松尾流
 石州流
 宗徧流
茶道の流派の選び方は?
まとめ

 

茶道の「流派」とは?

お茶を立てるイメージ茶道における流派とは、お茶の点て方や所作などの文化や流儀を継承する集団のことです。千利休を祖として始まった茶道は、当時はひとつの流派でした。しかし、長い歴史の中で分裂を繰り返し、現在は500種類を超える流派があるといわれています。茶道を始めるときは、それぞれの文化や流儀を理解して自分にあう流派を選ぶことが大切です。

 

茶道の流派で代表的な「三千家」とは?

茶器の画像茶道には「三千家(さんせんけ)」と呼ばれる、以下の3つの流派があります。

  • 表千家

  • 裏千家

  • 武者小路千家

元々は千利休を祖として作られた1つの流派でしたが、孫たちから3つに分かれました。流派によって、茶道の所作やお茶の点て方などが異なります。

それぞれの特徴や歴史ついて詳しく確認していきましょう。

 

表千家

千利休の孫である千宗旦(せんのそうたん)には、4人の息子がいました。そのうち長男と次男は早くに家を出ており、残された三男の千宗左(せんのそうさ)が後を継いだのです。
跡を継いだ千宗左が開いた流派が、表千家(おもてせんけ)になります。表千家は伝統に重きを置き、質素なものを好む保守的な流派です。着物も華美を避けた控えめなものを選びます。

【表千家の作法】

茶室には左足から入り、一畳を6歩で歩きます。少し膝を開くように女性はこぶし1個分、男性は安定する広さで座るのが基本です。背中を曲げないように背筋を伸ばした状態を保ちます。

【表千家のお茶の点て方】

お茶は泡を作りすぎないように点てます。茶筅は寝かせた状態で入れ、手首をあまり動かさずに点てるのが特徴です。上から見たときに三日月の泡になるように仕上げます。

 

裏千家

四男の千宗室(せんのそうしつ)が始めた流派が、裏千家(​​うらせんけ)です。千宗室が表千家を開いた千宗左の裏に庵(いおり)を建てたことが、裏千家の始まりといわれています。裏千家はこれまで、学校で茶道を広めたり海外に普及したりなど、熱心に啓蒙活動をおこないました。
現代では茶道の代表的な流派として、三千家のなかでもっとも多い茶道人口を誇ります。控えめな表千家とは異なり、着物や道具は華やかなものが好まれるのが特徴です。

【裏千家の作法】

入室の際は右足から入り、一畳を4歩で歩きます。他流派に比べると歩幅を広くとるのが特徴です。女性はこぶし1個分、男性は2個分ほど膝の間隔を空けて若干足を開いて座ります。

【裏千家のお茶の点て方】

茶筅を立てて入れ、お茶の表面が細かい泡でふっくらと覆うように点てます。細かい泡が立ったら「の」の字を書き、茶筅を抜くときに真ん中が盛り上がるようにするのが特徴です。

 

武者小路千家

早くに家を出た次男の千宗守(せんのそうしゅ)が始めた流派が、武者小路千家(むしゃこうじせんけ)です。一度家を出た千宗守は、別の業界で生計を立ててから還暦前にお茶の世界へ戻り、武者小路千家を始めた異色の経歴の持ち主です。
千利休が始めた茶道に重きを置き、三千家のなかでもっとも保守的だといわれています。着物も地味なものを好み、お点前も伝統を重んじたスタイルであることが特徴です。

【武者小路千家の作法】

茶室への入室は柱側の足から入り、歩幅を狭くして一畳を6歩で歩きます。女性は足を閉じて、男性は膝をこぶしひとつ分開けて座るのが基本です。

【武者小路千家のお茶の点て方】

お茶の作法は表千家のものに近く、あまり泡を作りすぎないように点てます。泡が立たないように茶碗を斜めに持ち、小さな丸を描くように茶筅を動かすのが特徴です。

 

「三千家」の流派ごとの違い

三千家の茶道流派表千家・裏千家・武者小路千家の3つの流派は、以下の点において大きな違いがあります。

  • 歩みの進め方

  • お辞儀や座り方などの所作

  • ふくさ

  • 茶道具

  • お茶の点て方

  • いただくお菓子

それぞれの違いについて、詳しく解説します。

 

歩みの進め方

茶道は、畳の上での歩き方に決まりがあります。

表千家

入室は左足から入り、一畳を6歩で歩く

裏千家

入室は右足から入り、一畳を4歩で歩く

武者小路千家

柱側の足から入り、一畳を6歩で歩く

なお、茶室を出るときは、表千家・裏千家ともに入室時の足と逆の足から退室するという決まりがあります。武者小路千家には、表千家や裏千家のような取り決めはありません。

 

お辞儀や座り方などの所作

茶道のお辞儀や座り方などの所作には決まりがあり、流派による違いがみられます。

【座り方】

表千家

女性はこぶしひとつ程度、男性は安定する広さで座る

裏千家

女性はこぶしひとつ分、男性はふたつ分ほど膝の間隔を空けて若干足を開いて座る

武者小路千家

女性は足を閉じて、男性は膝をこぶしひとつ分開けて座る

 

【お辞儀】

表千家

手を八の字の形につき、30度程度体を曲げる

裏千家

お腹が膝につくほど丁寧な「真」、体を前にかがめる「行」、手をついて軽くお辞儀をする「草」の3段階に分けて体を曲げる

武者小路千家

左手を前にして両手を合わせ、頭を下げる

 

ふくさ

ふくさは、点前で道具を清めたり釜の蓋を取ったりするときに使用する布です。茶事や茶会を主催する亭主は腰につけ、客は着物の胸元に懐中しておきます。基本的に無地のものを選びますが、各流派でふくさの色が異なります。

表千家

朱色(女性)

紫色(男性)

裏千家

赤色(女性)

紫色(男性)

武者小路千家

朱色(女性)

紫色(男性)

 

茶道具

茶道具とは、茶道に用いる道具の総称です。抹茶・煎茶など茶の種類を問わず、茶道に使用する道具はすべて茶道具と呼ばれます。
基本的にどの流派も同じ茶道具を使いますが、茶筅に少し違いがみられます。

表千家

煤竹で作られた茶筅を使用。煤竹は、古民家の囲炉裏の煙でいぶされた竹である

裏千家

白竹で作られた茶筅を使用。青竹を太陽光に晒して白くした竹である

武者小路千家

紫竹で作られた茶筅を使用。竹林に生えている時から渋い紫色をしている丈である

 

お茶の点て方

三千家の間には、お茶の点て方や見た目にも違いがみられます。

表千家

あまり泡を作りすぎないように点てる。泡のない部分が半月状になるのが特徴

裏千家

細かい泡を作るようにしっかり点てる。表面全体が細かい泡で覆われるのが特徴

武者小路千家

あまり泡を作りすぎないように点てる

お茶をしっかり泡立てる裏千家は、泡がきめ細かく軽くてまろやかな口当たりに仕上がります。

 

いただくお菓子

茶道で出されるお菓子には、干菓子(ひがし)と主菓子(おもがし)の2種類があります。干菓子は落胆など水分の少ない和菓子で、主菓子は生菓子や練り切りなどの上生菓子のことです。基本的に、薄茶は干菓子、濃茶は主菓子と出し分けられます。
年の始めのお茶会である初釜で出されるお菓子に違いが見られます。

表千家

若草色に染めた餡を白い薯蕷饅頭で包んだ「常盤饅頭(ときわまんじゅう)」をいただく習慣がある

裏千家

平安時代の新年の宮中儀式にちなんで作られた「花びら餅」をいただくのが定番である

武者小路千家

京都の春の様子を緑と桃色の2色で表現した「都の春」をいただくのが定番である

 

「三千家」以外の茶道の流派一覧

その他の茶道流派千利休を祖とした三千家以外にも、茶道には次のような流派があります。

  • 藪内流

  • 遠州流

  • 江戸千家流

  • 松尾流

  • 石州流

  • 宗徧流

それぞれの流派の特徴や歴史について、詳しく解説します。

 

藪内流

藪内流(やぶのうちりゅう)は、藪内剣仲(やぶのうちけんちゅう)が開いた流派です。安土桃山時代に天下人となった豊富秀吉は、千利休に茶の湯の作法改正統一を命じました。茶の湯の作法を改正統一した際に、藪内剣仲も手伝っていたといわれています。
藪内流は、千利休の茶道に武家茶道の文化を取り入れているのが特徴です。所作は千家に比べると重々しく、格式が感じられます。家元は京都にあり、藪内家を象徴する茶室「燕庵(えんなん)」や、利休から相伝の祝いとして贈られた茶室などがあります。

公式サイト:藪内流

 

遠州流

遠州流(えんしゅう)は、大名茶人である小堀遠州(こぼりえんしゅう)が始めた流派です。幼少期より茶の湯の英才教育を受け、千利休から続く茶道の本流を受け継ぎ、徳川将軍家の茶道指南役となりました。生涯に400回あまりの茶会を開き、大名や公家、町人などあらゆる階層を招いています。
遠州流茶道の真髄は「綺麗さび」と称され、侘びさびの精神に、美しさと豊かさ、そして明るさを備えた大名茶道の格式を感じられるのが特徴です。また、小堀遠州は茶道以外にも建築や造園で才能を発揮し、遠州作といわれる茶室や庭園が多く残されています。

公式サイト:遠州流

 

江戸千家流

江戸千家流(えどせんけ)は、川上不白(かわかみふはく)が開いた流派です。川上不白は、紀州の新宮で生れ、紀伊藩江戸詰家老水野家の家臣として江戸に出ます。将軍吉宗による紀伊の勢力を背景に京都へ茶の湯の修業に送られ、表千家で修業を重ねて千家流の茶人になりました。
その後、江戸に戻り紀伊藩の茶頭を務めながら、京都で学んだ茶道を江戸に広めています。江戸千家流は千利休のわびさびの精神を尊重しながらも、格式ばらず親しみやすいのが特徴です。表千家や裏千家に次いで、会員数が3番目に多いといわれています。

公式サイト:江戸千家流

 

松尾流

松尾流(まつおりゅう)は、松尾宗二(まつおそうじ)が始めた尾張名古屋を代表する流派です。松尾家の家祖は、京都で呉服商を営んだ辻玄哉(つじげんさい)で、千利休に台子点前(だいすてまえ)を伝授した兄弟子として知られています。松尾宗二は近江生まれですが、松尾家の養子に入り、表千家のもとで茶の奥義を極めました。
表千家のもとで茶の奥義を極めた松尾宗二は、名古屋に派遣され、京都と名古屋を往復しながら松尾流を発展させたそうです。松尾流は男手前・女手前と分かれており、「男性は男性らしく、女性は女性らしく」「茶碗は回さない」など特有の作法があります。

 

石州流

石州流(せきしゅうりゅう)は、4代将軍徳川家綱公の茶道指南役に推薦された片桐石州(かたぎりせきしゅう)が始めた流派です。将軍家をはじめ、武家社会の茶の湯として定着していきます。石州流の茶道は、武士の心得と千利休の茶の湯の心得を合わせた、格式高いものとして受け継がれてきました。
江戸時代を通じて幕府の茶道として各地に広がり、現在はいくつかの派に分かれています。石州流の茶風を取り入れた流派には、藤林流(ふじばやし)や鎮信流(ちんしん)、怡渓派(いけい)、不昧流(ふまいりゅう)などがあります。

公式サイト:石州流

 

宗徧流

宗徧流(そうへんりゅう)は、山田宗徧(やまだ そうへん)が始めた流派です。山田宗徧は6歳で茶の道を志し、遠州流の茶を学びました。18歳で千利休の孫である千宗旦に入門し、本格的な修行を開始しています。26歳で宗旦より皆伝を授かり、宗旦を通して学んだ茶道の普及を始めました。
その後、山田宗徧は宗旦の推挙により、江戸幕府の老中であった小笠原忠知に仕えます。宗旦の侘び茶の世界を引き継ぎましたが、小笠原家に代々仕えることで武家茶道を色濃く持つようになりました。宗徧流は、宗旦を通して学んだ茶道のわびさびの精神に、武家の意識や高い美意識が反映されているのが特徴です。

公式サイト:宗徧流

 

茶道の流派の選び方は?

流派別の茶道方法について茶道の流派は数多く存在するため、目的に応じて選ぶことが大切です。茶道の流派を選ぶ際に迷うときは、以下を参考にしてください。

  • 1回の趣味として気軽に習いたい:裏千家

  • 日頃から落ち着いた所作を行えるようになりたい:表千家系・武者小路千家

  • 会員数が少ない流派で学びたい:三千家以外の流派

  • 華やかな着物や道具を使いたい:裏千家

  • 千利休のわびさびの精神を学びたい:表千家

  • 今後茶道教室を替える予定がある:表千家系・裏千家・武者小路千家・江戸千家流

  • 通いやすい茶道教室で学びたい:表千家系・裏千家・武者小路千家・江戸千家流

調べた段階では自分にあうと感じていた流派でも、お稽古に参加すると合わない場合もあります。気になる流派が複数ある場合は、すべてのお稽古を見学して、先生や先輩方の相性や教室の雰囲気、お茶の点て方などを確認してみるのがおすすめです。

 

まとめ

茶道の流派まとめイメージ茶道には、千利休を祖とした三千家をはじめ、藪内流や遠州流など多くの流派があります。各流派によってお茶の点て方や所作などが異なるため、違いを正しく理解して自分にあう流派を選ぶことが大切です。気になる流派が複数ある場合は、お稽古を見学して先生や先輩方の相性や教室の雰囲気を確認してみてはいかがでしょうか。

また当店では流派にとらわれず、どんな流派の茶道具でも買取対応しております。茶道具の売却をお考えであれば茶道具買取店の永寿堂までお問い合わせ下さい。

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