甲冑の各部位名称とは?由来・歴史・機能を徹底解説

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甲冑の各部位名称とは?由来・歴史・機能を徹底解説
甲冑の名称メインイメージ

古来より日本の武士の象徴として、そして芸術品として高い評価を受けてきた甲冑。その精巧な造形と、戦場で命を守るための機能美は、見る者を圧倒します。
しかし、その複雑な構造と多様な部品の数々は、一見しただけでは理解が難しいかもしれません。
今回は、甲冑を構成する各部位の名称とその詳細について、歴史的背景や関連用語を交えながら解説します。時代や種類によって差異はあるものの、共通する部位や名称の由来を探ることで、甲冑への理解を深めていただければ幸いです。

 

【目次】
甲冑の主要部位名称
 兜の種類と特徴
 面頬の構造と役割
 胴の材質と装飾
 袖の形状と機能
甲冑の付属部位名称
 立物の種類と意味
 佩楯の形状と材質
 臑当の役割とデザイン
甲冑部位名称の歴史的背景
 名称の由来と変化
 時代による差異
 地域差と特徴
甲冑関連用語解説
 用語集
 専門用語解説
 歴史的背景
まとめ
甲冑や骨董品の買取は永寿堂へおまかせ下さい!

 

甲冑の主要部位名称

兜の種類と特徴

兜は、甲冑において最も重要な部位の一つであり、頭部を守るための防具です。
その形状や構造は時代や武将の好みによって多様で、大きく分けて鉢(はち)と、それを覆う様々な部品から構成されます。
鉢の形状は、一枚の鉄板を打ち出した「一枚張」や、複数の鉄板を組み合わせた「筋兜鉢」や「星兜鉢」などがあり、それぞれに特徴があります。
また、鉢の上部には「天辺の穴」と呼ばれる穴が開いており、これはかつて髷(まげ)を出すために作られたものです。
さらに、顔面を保護する「面頬(めんぽう)」、後頭部を守る「錣(しころ)」、額を守る「眉庇(まびさし)」、装飾を兼ねた「立物(たてもの)」などが兜に付属します。
立物は、前立、後立、脇立、頭立など、装着位置によって名称が異なります。
動物や植物、家紋などをモチーフにしたものが多く見られ、個人の識別や信仰を表す役割も担っていました。

 

面頬の構造と役割

面頬は、顔面を守るための防具で、兜と一体となって使用されます。
材質は主に鉄ですが、革や稀に紙製の物も存在します。
形状は、半首、額当、総面、頬当の四種類があり、それぞれの形状によって防御範囲や視界に違いがあります。
特に総面は、顔全体を覆うため防御力は高いものの、視界が制限されるという欠点があります。
面頬は、主に顔面への打撃や突きを防御する役割を果たし、特に顔面へのダメージは致命傷につながる可能性が高いため、その重要性は計り知れません。

 

胴の材質と装飾

胴は、身体の主要部分を保護する甲冑の心臓部です。
その形式は、丸胴、二枚胴、五枚胴などがあり、材質や構造、装飾によってさらに細分化されます。
主に小札(こざね)と呼ばれる小さな鉄板を縅糸(おどしいと)で繋ぎ合わせて作られる札胴と、鉄板を直接組み合わせた板胴があります。
札胴は、小札の形状や配置、縅糸の種類によって、本小札胴、桐付小札胴、伊予札胴などと呼ばれます。
板胴には、縦矧胴、横矧胴などがあり、それぞれの製造方法に特徴があります。
また、胴には様々な装飾が施され、家紋や絵画、金具などが用いられていました。
胴の装飾は、武士の身分や好み、所属などを反映しており、甲冑の芸術性を高める上で重要な要素となっています。

 

袖の形状と機能

袖は、肩や上腕部を守るための防具で、左右一対で使用されます。
大袖、広袖、壺袖、当世袖など、様々な種類があり、形状は時代や戦闘様式によって変化しました。
特に大袖は、騎射戦において盾の代わりとして使用されたため、非常に大きく作られています。
一方、白兵戦が主流となった時代には、腕の動きを妨げないよう小型化されていきました。
袖の材質は、主に革や布地が用いられ、中には金属製の板を組み合わせたものも存在します。
袖は、腕への打撃や斬撃を防御する役割を担い、戦闘における防御力の向上に大きく貢献しました。

甲冑の鎧兜

 

甲冑の付属部位名称

立物の種類と意味

既に兜の説明で触れましたが、立物は兜に装着される装飾品であり、前立、後立、脇立、頭立など、装着位置によって名称が異なります。
動物や植物、家紋などをモチーフにしたものが多く見られ、個人の識別や信仰を表す役割も担っていました。
また、立物は装飾だけでなく、心理的な威圧効果も期待されており、戦闘において精神的な優位性を確保する役割も果たしていたと考えられます。

 

佩楯の形状と材質

佩楯は、大腿部や膝などを保護する防具です。
材質は、絹、木綿、麻、毛織物などを家地とし、板札には革、鉄鎖には鉄や真鍮などが用いられています。
形状は比較的シンプルで、エプロンのように腰に巻いて装着します。
佩楯は、主に騎乗時の衝撃や、下半身への攻撃から身を守る役割を果たしていました。

 

臑当の役割とデザイン

臑当は、膝から足首までを守る防具です。
材質は、佩楯と同様に絹、木綿、麻、毛織物などを家地とし、板札には革、鉄鎖には鉄や真鍮などが用いられています。
形状は、膝から足首までを覆うように作られており、馬に乗った際に鐙(あぶみ)や馬を傷つけないように、内側に布が張られているものもあります。
臑当は、下半身への攻撃から身を守る役割を果たし、特に騎乗戦闘においては重要な防具でした。

 

甲冑部位名称の歴史的背景

名称の由来と変化

日本の甲冑における各部位の名称は、その形状や役割、素材といった実用的要素に由来して名付けられています。
例えば、「兜(かぶと)」は頭部を保護する防具であり、その語源は「頭を被(かぶ)る」からきているとされます。
また、「胴(どう)」は胴体、つまり体幹部分を覆う防具で、敵の攻撃から内臓を守る役割を持つことからその名称がつけられました。

しかし、これらの名称は一貫して不変だったわけではなく、時代や地域、さらには用いられる文脈によって変遷が見られます。
例えば、甲冑の装飾である「立物(たてもの)」は、戦国時代には家紋や個人識別の目的で用いられることが多く、特に目立つ意匠が好まれましたが、江戸時代に入ると儀礼用の装飾に重点が置かれ、「験金(しるしがね)」という別名で呼ばれるようになることもありました。
これは、装飾品としての性質が強調され、実戦ではなく威信を示すものとしての意味合いが濃くなったことを示しています。

また、甲冑の部位名称には中国由来の語彙も混在しており、奈良時代や平安時代には唐の影響を受けた漢語表現が用いられることもありました。
こうした言葉の変化は、甲冑が単なる武具である以上に、時代ごとの文化や価値観の反映でもあったことを示しています。

 

時代による差異

甲冑の構造や用途は、日本の戦闘様式や兵法の変化と密接に関連しており、それに伴って部位の名称や形状、素材などにも変化が見られました。
例えば、平安時代の代表的な甲冑である「大鎧(おおよろい)」は、騎射(馬上から弓を射る戦い)が主流だった当時の戦術に適した設計であり、防御力を重視した厚手の構造が特徴です。
この時期の「袖(そで)」は大きく横に張り出しており、矢を防ぐための面積が広く取られていました。

それに対し、南北朝時代から室町時代にかけて戦闘が集団戦・接近戦中心となると、「胴丸(どうまる)」や「当世具足(とうせいぐそく)」など、より軽量で可動性の高い形式が主流になります。
この変化に伴い、「袖」も小型化され、腕の自由な動きを妨げないように工夫が施されました。
また、「草摺(くさずり)」と呼ばれる胴の下部に垂れ下がる防具も、時代が下るにつれて形状が変化し、動きやすさと防御力のバランスが考慮されるようになります。

こうした進化の背景には、戦場の地形、兵士の装備の変化(槍や鉄砲の導入など)、さらには武士階級の社会的役割の変化も密接に関わっています。
特に戦国時代以降は量産性や現場での修理のしやすさも重視され、甲冑の部位ごとのモジュール化も進められました。

 

地域差と特徴

甲冑の製造技術やデザインには、製作が行われた地域ごとの特徴や伝統が色濃く反映されています。
これは、甲冑が武具であると同時に、その地域の文化や美意識を反映した工芸品でもあるためです。
そのため、同じ部位に対しても名称や造形に微細な違いが見られる場合があり、地域差を理解することは甲冑研究において非常に重要な視点となります。

例えば、甲斐(現在の山梨県)では、機動性を重視した軽量な甲冑が好まれたとされ、これには山岳地帯の地形に対応する必要があったことが関係しています。
一方、加賀(現在の石川県)のような文化が栄えた地域では、美術工芸としての装飾性が重視され、漆塗りや金具細工が精緻な甲冑が多く見られます。

また、同じ「兜」であっても、東北地方で生産されたものと、関西地方のものでは形状や構造に明らかな違いがあります。
東北では防寒性を重視した構造が見られることがあり、関西では華やかな装飾や彫金技術が発展しました。
このように、甲冑は単なる戦闘装備ではなく、地域ごとの技術・文化・地理的条件が反映された複雑な工芸的成果でもあるのです。

 

甲冑関連用語解説

用語集

鉢(はち)

兜の頭部を覆う部分。

錣(しころ)

兜の後頭部から首を覆う部分。

面頬(めんぽう)

顔面を守る部分。

胴(どう)

身体の主要部分を保護する部分。

袖(そで)

腕を守る部分。

草摺(くさずり)

腰から下半身を守る部分。

籠手(こて)

腕から手首を守る部分。

佩楯(はいだて)

大腿部を守る部分。

臑当(すねあて)

膝から足首を守る部分。

小札(こざね)

札胴を構成する小さな鉄板。

縅糸(おどしいと)

小札を繋ぎ合わせる糸。

 

専門用語解説

一枚張

一枚の鉄板で作った兜鉢。

筋兜鉢

複数の鉄板を組み合わせた兜鉢。

星兜鉢

鋲を打って装飾された兜鉢。

札胴

小札を縅糸で繋いで作った胴。

板胴

鉄板を組み合わせた胴。

大袖

大きな袖。

総面

顔全体を覆う面頬。

 

歴史的背景

甲冑の各部位の名称や構造、材質は、当時の技術や戦闘様式、美意識などを反映しています。
各用語の歴史的背景を理解することで、甲冑が単なる防具ではなく、当時の社会や文化を反映した重要な遺物であることが分かります。

等身大の甲冑

 

まとめ

今回は、甲冑を構成する主要な部位と付属部位の名称、その詳細な構造、歴史的背景、そして関連用語について解説しました。
時代や種類によって様々な差異が見られるものの、それぞれの部位が持つ機能と、それらが織りなす全体像を理解することで、甲冑の奥深さをより堪能できるでしょう。
各部位の名称の由来や変化、地域差などを学ぶことで、歴史愛好家の方々にとってより深い理解が得られることを期待しています。
甲冑の複雑な構造と精巧な技術、そしてそこに込められた武士の精神に触れて、歴史への興味を一層深めていただければ幸いです。
甲冑は単なる防具ではなく、日本の歴史と文化を象徴する貴重な遺産なのです。

 

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