
掛け軸は、日本の伝統文化を象徴する美術品として、古来より多くの人々に愛されてきました。その奥深い歴史と芸術性ゆえに、近年では高額取引される作品も少なくありません。
しかし、その人気と価値の高さが、同時に偽物の横行という問題を生み出しているのも事実です。本物と偽物を的確に見分ける力は、掛け軸を愛する者にとって不可欠なスキルと言えるでしょう。
そこで今回は、掛け軸の偽物を見抜くための知識と対策を、具体的な事例を交えながらご紹介します。
【目次】
掛け軸の偽物が多い理由
狩野派模写の増加
昭和期の大量生産の影響
地方での真贋判定の困難さ
掛け軸の偽物を見抜く方法
制作年代の特定方法
肉筆か印刷かの見分け方
作者名の検証
入手経路の確認
掛け軸の価値を高める要素
作者の知名度と作品性
制作年代と歴史的価値
保存状態の重要性
付属品と来歴
入手経路の信頼性
まとめ
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掛け軸の偽物が多い理由
狩野派模写の増加
江戸時代、狩野派は多くの弟子を抱え、その育成システムとして師匠の作品を模写させる「分本主義」を採用していました。
このため、大量の模写が作られ、中には後世、狩野派の著名な画家の名前が書き加えられ、偽物として市場に出回ったものが少なくありません。
模写自体は必ずしも偽物とは言い切れませんが、作者を偽って販売される場合は違法行為となります。
昭和期の大量生産の影響
昭和30~40年代には、大量生産された偽物が、地方の旧家などを対象に訪問販売されるという事件が頻発しました。
地方では真贋判定できる専門家が少なく、偽物がそのまま保管され、現在まで残っているケースも少なくありません。
特に軸装(掛け軸の両端の芯や、絵の周りの装飾部分など)が同一であるものは、同一の業者によって作られた偽物である可能性が高いです。
地方での真贋判定の困難さ
大都市圏と異なり、地方では掛け軸の真贋を判定できる専門家が不足しています。
そのため、偽物が市場に流通しやすく、また、購入者側も真贋を見極めることが難しく、結果として偽物が多く残ってしまうという状況が生まれています。
専門家の鑑定を依頼することが、地方においては特に重要となります。
掛け軸の偽物を見抜く方法
制作年代の特定方法
掛け軸の制作年代は、画風、モチーフ、用いられた材料、技法などから推測します。
例えば、画風は時代によって変化するため、その特徴を理解することで年代を絞り込むことができます。
また、用いられた紙や墨の種類、軸装の技法なども、年代特定の重要な手がかりとなります。
専門書や図録などを参考に、時代背景を踏まえた上で判断することが重要です。
肉筆か印刷かの見分け方
肉筆画は、筆の運びや墨の濃淡、筆圧の変化などから、独特の深みと味わいを感じることができます。
一方、印刷された掛け軸は、機械的な均一性があり、筆の動きや墨の濃淡に自然な変化が見られないことが多いです。
拡大鏡やルーペを用いて、筆跡の細部を観察し、筆の運びや墨の滲み、濃淡の自然さを確認することで、肉筆か印刷かを判断できます。
しかし、高度な技術で制作された偽物は、肉眼での判別が困難な場合もあります。
作者名の検証
掛け軸に記された作者名(署名や落款)は、真贋判定において重要な要素です。
しかし、偽物には、有名な作家の名前を模倣したものも多く存在します。
作者名の真偽を検証するには、その作家の作品集や専門書、データベースなどを参照し、署名や落款の筆跡、印影などを比較検討する必要があります。
落款の位置や形状、印影の鮮明さなども、真贋判定の重要なポイントとなります。
入手経路の確認
掛け軸の入手経路も、真贋判定において重要な要素です。
信頼できる美術商やオークション、美術館などから入手した作品は、真作である可能性が高くなります。
逆に、不明なルートから入手した作品は、偽物である可能性も高いため注意が必要です。
購入時には、入手経路を明確に確認し、できれば購入時の書類などを保管しておくことをお勧めします。
掛け軸の価値を高める要素
作者の知名度と作品性
作者の知名度が高いほど、掛け軸の価値は高まります。
特に、歴史的に著名な画家や書家による作品は、高額で取引される傾向にあります。
また、作品性、つまり、絵画や書の内容、表現技法、芸術性なども価値に大きく影響します。
独創性や完成度、時代性を考慮し、作品全体のバランスを評価する必要があります。
制作年代と歴史的価値
一般的に、制作年代が古い掛け軸ほど、歴史的価値が高く、希少性も増すため、価値も高くなります。
ただし、保存状態が悪ければ価値は下がるため、保存状態と年代のバランスが重要になります。
年代を特定するには、絵画の様式、材料、技法、歴史的背景などを総合的に判断する必要があります。
保存状態の重要性
掛け軸の保存状態は、価値に大きく影響します。
汚れ、シミ、破れ、カビ、虫食いなどの損傷があると、価値が大きく下がる可能性があります。
適切な環境で保管し、定期的に点検、清掃を行うことで、掛け軸の価値を維持、向上させることができます。
付属品と来歴
掛け軸に付属する共箱(掛け軸を入れる箱)、鑑定書、旧蔵印(過去の所有者の印)、記録文書などは、その掛け軸の価値を高める要素となります。
特に、共箱には作者の落款が押されている場合があり、真贋判定にも役立ちます。
また、来歴が明確な掛け軸は、信頼性が高く、価値も高まります。
入手経路の信頼性
信頼できるルート、例えば、著名な美術商、オークション、美術館などから入手した掛け軸は、真作である可能性が高く、価値も高くなります。
逆に、不明なルートから入手した掛け軸は、偽物である可能性が高いため注意が必要です。
入手経路の明確化は、掛け軸の価値を評価する上で非常に重要な要素となります。
まとめ
掛け軸の偽物を見抜くためには、制作年代の特定、肉筆か印刷かの見分け、作者名の検証、入手経路の確認など、多角的な視点からの検証が不可欠です。
特に、地方では専門家の鑑定を依頼することが重要です。
また、作者の知名度、制作年代、保存状態、付属品、入手経路なども、掛け軸の価値を評価する上で重要な要素となります。
これらの知識を踏まえ、慎重に掛け軸を選び、そして長く大切に保管することで、その芸術性を存分に楽しむことができるでしょう。
本物を見極める眼を養い、掛け軸の世界をより深く堪能してください。
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